金継ぎキットの選び方|本漆と簡易の違い・食器に使えるか・日数

金継ぎキットは、直した器を食器に戻すかどうかと、乾かす日数をかけられるかで選びます。 天然漆(本漆)を使うキットは、漆が湿度で乾くため工程ごとに乾かす時間がかかり、体質によってはかぶれます。合成樹脂やパテを使う簡易キットは、その日のうちに仕上がる案内のものもありますが、食器に使うときの条件(耐熱温度など)が付くことがあります。どちらでも、食器に戻す前に、そのキットの材料の表示と使い方の条件を販売ページで確かめてください。
この記事は、販売元の解説と販売ページの記載(2026年11月1日に確認)をもとにした選び方の整理です。当サイトでキットを使って器を直したレビューではありません。

本漆のキットと簡易キットの違い
金継ぎラウンジ(金継ぎキットの販売元)の解説では、本漆の金継ぎに使う天然漆はウルシノキの樹液を精製した塗料で、空気中の水分と反応して硬化する「湿度で乾く」塗料とされています。一方の「新うるし」は天然漆ではなく合成樹脂で、かぶれの心配がなく扱いやすい反面、食品衛生法の適合可否は製品によって異なると書かれています。
| 比べる点 | 本漆(天然漆)のキット | 簡易キット(合成樹脂・パテなど) |
|---|---|---|
| 仕上がるまで | 工程ごとに漆を乾かすため、日をまたぐ | 販売ページに「その日のうちに修復が完成」とある例も |
| かぶれ | 体質によってかぶれる。手袋・長袖が要る | 天然漆を使わない材料なら、漆かぶれの心配は小さい |
| 乾かす場所 | 湿度70〜85%・温度20〜25℃が目安(販売元の解説) | 説明書の硬化の条件に従う |
| 食器に戻すとき | 材料の表示と説明書の条件を確かめる | 耐熱温度などの条件を確かめる |
同じ「漆」と書かれたキットでも、材料の組み合わせは商品ごとに違います。例えば、下で比べる金継ぎラウンジの「漆金継ぎ」スターターセットは、生漆のほかに合成樹脂・テレピン油が入り、金粉は真鍮、銀粉はアルミと販売ページに書かれています。「本漆」「簡易」という名前だけで決めず、内容物の一覧を見て選びます。
選ぶ前に確かめる4つのこと
1. 直した器を食器に戻すか
食器に戻すなら、そのキットが食器の補修に使えると書いているか、使うときの条件は何かを、販売ページ・説明書で確かめます。今回確かめた範囲では、次のように書かれていました。
- つぐつぐの「つぐキット」:販売ページに「合成樹脂を使わない食品衛生法適合」と記載。
- 金継ぎラウンジの簡易キット:スターターセットの販売ページに「合成樹脂(食品衛生法適合)でコーティング」、販売元の解説に「金継ぎ後は、食器としてご使用いただけます」とあり、耐熱温度60℃・水分の少ないもの推奨という条件が付いています。熱い汁物を入れる器は、この条件から外れます。電子レンジ・食洗機で使えるかは書かれていないため、使う前に販売元に確かめます。
どちらも販売元の記載で、当サイトが材料を検査して確かめたものではありません。
ヒビが器の内側(口や食べ物が触れる面)にある場合や、作家物・高価な器の場合は、キットで直す前に、教室や修理を受け付ける工房に相談する方法も比べてください。
2. 漆かぶれへの備え
販売元の解説では、天然漆に含まれるウルシオールは体質によってかぶれを起こすとして、ニトリル手袋の着用、長袖・前掛けで肌を守ること、皮膚に付いたらすぐ食用油で拭き取ってから石けんで洗うこと、症状が出たら皮膚科を受診することを挙げています。肌が弱い人や、家族に小さな子どもがいて作業場所を分けられない場合は、天然漆を使わない材料のキットから考えます。
3. 乾かす時間と場所
本漆は湿度で乾くため、販売元の解説では、自宅では段ボールと濡れタオルで「ムロ」を作って湿度を保つ方法が紹介されています。工程を何日に分けるかはキットの手順書によるため、買う前に販売ページや手順書の動画で、工程の数と乾かす時間を確かめておきます。つぐキットの販売ページは、手順を全5工程で解説していると書いています。
4. 直せる数と、材料の使用期限
金継ぎラウンジの解説では、スターターセットで小鉢3〜5個分が目安、販売ページでは簡易スターターセットが約7皿分とされています(同じ販売元でも記載に幅があります)。つぐキットの販売ページは、生漆を約1年で使い切ることを推奨しています。直したい器が少ないなら、材料が多いセットを選ぶより、使い切れる量のものを選びます。
キットを比べる
販売ページでセット内容を確かめたキットです(2026年11月1日に確認)。並び順は、天然漆を使うものから簡易キットへの順で、おすすめの順位ではありません。
つぐつぐ 金継ぎセット つぐキット 金
商品番号 Tsugukit-Gold/生漆30g・木粉・砥粉(各約8ml)・黒粉・弁柄粉(各約3ml)・筆・へら・竹へら・さじ・パレット・スポイト・耐水サンドペーパー・金粉0.1g(23金)・真綿・マスキングテープ・ゴム手袋M2枚・手順書
- 主な特徴
- 販売ページに「合成接着剤や新うるしは使用していません」と記載
- 手順書と動画(日本語・英語)で全5工程を解説(販売ページの記載)
- 販売ページに「合成樹脂を使わない食品衛生法適合」と記載
- 向く人
- 天然漆の金継ぎを家で一通り試したい人。乾かす日数をかけられる人
- 注意点
- 天然漆のため、体質によってかぶれます。生漆は約1年で使い切ることが推奨されています。金粉は0.1gで、直す線が多い場合は足りるかを確かめます。
価格・在庫・送料は、販売先のページで確認してください。
金継ぎラウンジ『漆金継ぎ』スターターセット
内容物(販売ページの一覧):生漆・砥之粉・鳴滝砥之粉・薄力粉・金粉(真鍮)・銀粉(アルミ)・合成樹脂・テレピン油・絵皿・スポイト・平筆・面相筆・デザインカッター・紙やすり(#400/#800)・マスキングテープ・手袋・カラーの説明書 など合計30点以上
- 主な特徴
- 生漆を使い、金・銀の2色の粉が入る
- 販売ページに90日間の保証の記載
- 向く人
- 天然漆を使いながら、金と銀の両方で仕上げを試したい人
- 注意点
- 生漆のほか合成樹脂・テレピン油も入ります。金粉は純金ではなく真鍮です。食器に戻すときの条件は、説明書と販売元に確かめてください。
価格・在庫・送料は、販売先のページで確認してください。
金継ぎラウンジ 簡単金継ぎ スターターセット
アイテム数20点・約7皿分(販売ページの記載)/真鍮粉・筆・デザインナイフ・やすり など/説明書とYouTubeの動画解説付き/収納用のポーチ付き
- 主な特徴
- 接着剤やパテを使う簡易キット(販売元の解説)
- 販売ページに「漆は使用せず、合成樹脂(食品衛生法適合)でコーティングします」「修復後の器も、食卓に戻すことができます」と記載
- 向く人
- 1日で仕上げたい人。漆かぶれを避けたい人
- 注意点
- 販売元の解説では、食器として使う場合の耐熱温度は60℃、水分の少ないものが推奨です。熱い汁物を入れる器は、この条件から外れます。
価格・在庫・送料は、販売先のページで確認してください。
金継ぎラウンジ 簡単金継ぎセット(ライト)
セット内容(販売ページの記載):説明書(イラスト付き)・金粉(真鍮粉)・エポキシ接着剤・エポキシパテ・簡易面相筆・簡易平筆・絵皿・耐水性紙やすり#400(1枚)・テレピン油・合成樹脂
- 主な特徴
- 販売ページに「その日のうちに修復が完成」と記載
- 販売元の解説では、ライトキットには動画解説が付かない
- 向く人
- まず1つの器で金継ぎの流れを試したい人
- 注意点
- 動画解説がないため、説明書だけで進めます。食器として使う場合の条件はスターターセットと同じく販売元の案内で確かめます。
価格・在庫・送料は、販売先のページで確認してください。
販売先のリンクについて
「広告」と表示したリンクは、楽天アフィリエイトを通じた楽天市場の販売店(金継ぎ教室つぐつぐ 楽天市場店・金継ぎラウンジ 楽天市場店)と、Amazonアソシエイトを通じた Amazon.co.jp(検索結果)への広告リンクです。Amazon のリンクは検索結果のページで、別の商品も表示されます。リンクから購入が成立すると、当サイトが紹介料を受け取る場合があります。キットは販売ページのセット内容と販売元の解説で比べ、紹介料の有無で並び順を変えていません(広告の扱い)。
始める前の準備と、よくある失敗
- 作業場所を決めずに始める:漆やパテが家具に付くと取れにくくなります。新聞紙やシートを敷き、器を置いたまま乾かせる場所を先に決めます。
- 乾かす環境を作らない:本漆は湿度が低いと乾きにくくなります。販売元の解説の目安(湿度70〜85%・20〜25℃)に近づける「ムロ」を用意します。
- かぶれ対策を後回しにする:手袋は破れていないかを確かめ、作業中に顔や首を触らないようにします。症状が出たら作業をやめて皮膚科へ。
- 食器の条件を確かめずに使う:簡易キットで直した器に熱い汁物を入れると、販売元の案内の条件(耐熱温度60℃)から外れます。
- 割れた器のかけらで手を切る:割れの断面は鋭いことがあります。かけらを扱うときは手袋をし、細かい破片は片付けてから作業します。
よくある質問
金継ぎで直した器は、食器として使えますか?
キットによって違います。今回確かめた範囲では、つぐつぐの「つぐキット」は販売ページに食品衛生法適合と書かれ、金継ぎラウンジの簡易キットは耐熱温度60℃・水分の少ないもの推奨という条件付きで食器として使えると案内されています。使うキットの説明書と販売元の案内を確かめてください。
初心者は本漆と簡易のどちらから始めればよいですか?
1日で仕上げたい・かぶれを避けたいなら簡易キット、時間をかけて天然漆の金継ぎを覚えたいなら本漆のキットが候補です。販売元の解説でも、本漆のキットは手順を動画などで先に見て工程をつかんでから始めると安心、とされています。
教室で習うのとどちらがよいですか?
道具をそろえる前に一度教わりたい場合や、大切な器を直す場合は、教室も比べてください。当サイトの体験の一覧は浅草・蔵前周辺の体験で、金継ぎのプランはまだ掲載していません。キットの一般的な選び方は家で作る手作りキットの選び方にもまとめています。
次にすること
- 直したい器が食器かどうか、内側にヒビがあるかを確かめ、材料の表示と使い方の条件が合うキットを選びます。
- 本漆を選ぶなら、手袋・長袖と、湿度を保って乾かせる場所を先に用意します。
参考にした資料
- 金継ぎに使う漆の種類と取り扱い(金継ぎラウンジ・販売元の解説)(確認日:2026年11月1日)
- 金継ぎラウンジが選ばれる理由(食器としての使用の条件の記載)(確認日:2026年11月1日)
- 金継ぎキットの選び方(金継ぎラウンジ・販売元の解説)(確認日:2026年11月1日)